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ない、イライラする、物事を忘れやすい、興味がわかない、仕事がつまらない、眠れない、食欲がない、などの症状です。
その治療には、単に葉を服用するだけでなく、精神的苦悩を生じた原因や反応過程の対策が求められます。
問題はこのような心身の異常に気付いても「気持ちがたるんでいる」とか「仕事を完成するまで頑張らなくちゃ…」と、自分に額打って異常を認めようとしないことです。
そして次第に体調が崩れていっても、職場に迷惑をかけることを恐れて休養しないことです。
この傾向は、特に乗船中に見られます。
このような状態が続くと、やがてノイローゼや「うつ状態」になり、また職場ではミスが多く、人間関係がうまくいかない、仕事が円滑にはかどらないなどのために、監理監督者から「職場不適応」としてチェックされるようになります。
職場不適応は成人病と同じで、対応が遅れると、長期間の加療が必要になりますが、異常サインを素直に認めて適切な対策を取れば、加療しなくても健康を回復することができます。
現在、私たち船員災害防止協会が手掛けております「体と心の健康調べ」を受けられた方の中の二一・七%が、「安全な作業を心がけるよう」とのコメントを出されています。
この方々の体の健康状態を全体と比較してみますと、良くない方が多く、特に消化器系、筋骨格系が目立っており、医者の診療が必要と思われる方が、全体の平均の約二倍にもなっています。
心の状態についても全体と比較しますと、「気になることがあって、落ちつかない」とコメントされた方が平均の約二倍、「自分の仕事を見直してもらいたい」という方も二倍ありました。
このことからも、災害を防ぐには、体の健康が大切なことがわかると思います。
安全対策を考えてみると、安全は、だれのためのものでもなく、何より自分のためのものです。
自らを知ることや、生活の中のストレスに適切に対応する社会生活では、ますます重要となります。
明るい職場作りには、心をそろえ、力を合わせて安全に取り組むことも、非常に大切なことです。

 

 

 

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